内くるぶしの後ろ側が痛い時の対処法
マラソンなどスポーツをよくされる方やご高齢の方、特に扁平足の方で、内側くるぶしの後ろ側が痛いと言う方がいらっしゃいますが、後脛骨筋障害かもしれません。今回はこの痛みへの対処法についてご紹介いたします。
後脛骨筋障害とは
後脛骨筋障害とは、足首の内側にある後脛骨筋に痛みが出てくる障害です。後脛骨筋は脛骨(すねの骨)の裏側に付着して、内側のくるぶしのすぐ後ろを通り、舟状骨の内側や足底に付着する筋肉です。
後脛骨筋は足首を底屈させ、距骨下関節と横足根関節のスピネーションをおこします。さらに足首の底屈とスピネーションを加速、もしくは背屈とプロネーションを減速します。足首と距骨下関節を安定させようと踏ん張る働きをもった筋肉で、足の機能にはとても重要な働きを司っています。
スピネーション(内側アーチを持ち上げる)
プロネーション(内側アーチをゆっくり下げる)
後脛骨筋の機能不全は強い痛み、筋力低下、扁平足を起こします。腱の部分が傷んだり、腱そのものが伸びてしまったり、潤滑に滑走しないために、十分な力を発揮することができません。
特に右側のアーチが内側に倒れています
後脛骨筋がちゃんと機能しているかどうかを調べるために、45度底屈(足先を下げる)して内側に押してみてください。痛みなく十分に力がでていれば大丈夫です。
なぜ起こるのか
後脛骨筋障害の症状が出るのは、足首の捻挫などがきっかけになりことがあります。また直接的な打撲や、突然起こることもあります。高齢者に起こりやすい障害なので、徐々に後脛骨筋の筋腱が傷んでくることも考えられます。
内側に行き過ぎている足部を持つ人は、距骨下関節の機械的に効率がよくなく、スピネーションを起こす筋力を発揮しずらい状態にあります。これが一番の機械的な要因となっていると考えられています。
後脛骨筋が傷んでくると距骨下関節をスピネーションさせる力を発揮する能力も落ちてしまいます。そのため荷重位での活動中は距骨下関節のプロネーションを増加させる結果となってしまいます。
後脛骨筋障害に見られる扁平足が徐々に進行してしまうと、さらに困ることがあります。足底部、足底からやや内側の距舟関節に付着するスプリング靭帯複合体が伸びてしまうことです。スプリング靭帯複合体は足の甲側にある内側の踵立方靭帯と底側の踵立方靭帯も含みます。
スプリング靭帯複合体
両方の踵立方靭帯は、距骨下関節と踵立方関節が極度にプロネーションする時に距舟関節で距骨頭が底屈、内転するのに対抗します。後脛骨筋はこの両方の踵立方靭帯にかかる負荷を減らす助けとなります。そうして過負荷や腱の伸長などを防ぐのに役立ちます。
しかしながら、スプリング靭帯複合体が徐々に伸びてしまうと、前足部に対して後足部がより底屈、内転してしまうことになります。つまり内側アーチが下がってきてしまいます。こうして徐々に内転が増してしまうと、さらに距骨下関節がプロネーションを起こしてしまいます。後脛骨筋の腱が通常通り働かない状態は直接的に距舟関節の靭帯、三角靭帯、内側アーチの足底靭帯の変位の原因になります。
対処法
内側アーチの低下や前足部の外転などの構造的な変化を防ぐために、できるだけ早期にその病的な状況にアプローチすることが重要です。
後脛骨筋障害は最初は保存的に治療します。
文献を見てみると足底板の使用と正しい靴を使用することが効果的であるようです。
距骨下関節が内側に移動することによってプロネーションを大きくする力が働いてしまうので、足底板はこのプロネーションの反対向きのスピネーションを起こすように作成されなければなりません。市販のものはそこまでできるものでないものが多いので、障害の程度が高い方はオーダーで作製するのがよいと思います。
カービー先生によれば、足底板の作製にあたっては4.7mmか6.3mmのプラスチック(ポリプロピレン)を用いたシェル、足型模型への2mmから6mmのヒールスカイブ処理と1度から5度の内反位のバランス修正、16mmから29mmの深さのヒールカップなどの処置が必要になってきます。
オーダーメイドで作られた足底板(アメリカ製)
痛みがあるときはアイシングをお勧めします。
後脛骨筋の鍛え方ですが、まずイスにすわり、足と足の間を少しだけとります。踵は地面につけたまま、足の前側を持ち上げて内側同士を押しつけ合います。10秒押したら10秒休み、また10秒押すというように行います。これを15回から20回、3セット行います。痛みが出るほど強くする必要はありません。
また立位で片足を高くあげてバランスをとるようなエクササイズも内側アーチを引き上げる効果があるのでお勧めです。
最後に
後脛骨筋障害を未然に防ぐには、自分の足部がリスクのある足かどうかを早くに見極めることが必要です。極度に足部が内側に倒れている人は要注意です。こういう人は先天的な重度の扁平足である場合もあるので、その場合は足が成長してくる6歳から8歳頃までに足底板によってサポートしていかなければ間に合わないからです。もしご家族に該当する人がいる場合、お子様も同じ足になる可能性が高いので、すぐに病院で診察を受けられることをお勧めします。
もしまだ痛みはそれほどないとしても足部が内側に倒れすぎるような人はリスクが高いので、早めに足底板の相談をされることをお勧めします。
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