膝関節炎と足底板(インソール)
O脚は足部の機能に悪影響を及ぼします。というのはそれが足部を著しく回内させて、つまり内側に倒して足底が地面に接するようにしてしまうからです。足部が柔らかく、関節が動きやすい場合、歩行時に踵が接地した直後に、代償的に、必要以上に距骨下関節のプロネーションを起こしてしまいます。
脛骨の内反、すなわち捻れがあると膝の内転のモーメント、O脚を助長する方向の力を増加させてしまいます。そして踵接地時の脛骨の内側と大腿骨の圧迫の力を増幅させてしまうのです。
Human Locomotion (Thomas Michaud, DC) Newton Biomechanics 2014から引用
O脚の発達の一番の原因は、脛骨が赤ちゃんの頃の自然な曲がりからまっすぐにならないことにあります。通常は2歳までに膝はほぼまっすぐになり、4歳までに少しだけX脚になります。そのため踵接地の時に脛骨がほぼ垂直にできるようになるのです。
病的なO脚は、様々な代謝的・遺伝的問題からくることがありますが、生理的な自然な脛骨の内反、つまり内側に曲がった状態がピークの時に早く歩かせ始めることが一般的な原因のようです。
O脚に対処する一番シンプルな方法は、かかとの下外側にパッドををつけることです。これはvalgus postと呼ばれます。X脚に戻るような力が生み出されて、O脚によって膝の内側にかかる力を減らそうという意図です。
しかしながら、研究ではvalgus postによる大きな改善をしめすことができていないようです。膝内側の痛みを訴える脛骨の内反を伴う患者に対して、valgus postを用いたときに痛みを減らすことができないのは、主に距骨下関節の動きが原因です。
距骨下関節は後足部と脚部の間のねじれを消散させる働きをするため柔らかい扁平足タイプの足の人にvalgus postを使用するのは効果的ではありません。
というのは、このタイプに見られる過剰な距骨下関節のプロネーションがvalgus postによって生み出されたX脚方向に向ける力を消散させてしまうからです。
逆に、足部が硬くてハイアーチの人にvalgus postが用いられた場合は、距骨下関節が外反ストレス、つまりX脚方向に向ける力を相殺せず、膝にかかる内転のモーメント、O脚方向に進む力を効果的に減少させることができます。内側の膝関節炎になっている扁平足の人に対する結果を向上するためにGrossとHallstromeはブレイス (膝の硬いサポーターみたいなもの)とカスタム足底板(オーダーメイドのインソール)を勧めています。
自分でできることと言えば、膝の内側の関節炎が進むのを抑える、股関節の外転筋である中臀筋と腸脛靭帯が膝の外側を安定させられるように鍛えることです。だいたいのパターンは同じですが、どこを重点的に鍛えればよいのかは人によって違うのでまずは膝の関節炎に詳しい医師に診ていただくことから始めることをお勧めします。その後は運動療法に詳しい理学療法士やアスレティックトレーナーに相談されるとよいでしょう。もちろん足部のこと、運動療法のこと両方ともに精通しているガーディアンズにも、お気軽にお問い合わせください。
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