前十字靭帯損傷リスクに足底板は有効?

2017年04月10日(月)9:57 PM

膝の前十字靭帯損傷はスポーツ選手にとって大きな怪我で、およそ1年近くプレーできなくなります。

 

特に女子アスリートにとってはこの怪我のリスクは男性より高いようですので、怪我をする前の予防が重要になってきます。

 

 

前十字靭帯損傷のメカニズムとしては、ジャンプでの着地時やカッティング動作時になりやすいようです。この時には股関節の屈曲と内転、膝の屈曲、脛骨の内旋、足部のプロネーション(足部が内側に入ること)が起こりますが、この時に膝が余計に内側に入るknee in motionが一番危険なポジションであるというのはよく言われることです。

 

 

時々女子選手でジャンプの着時時の膝の動きを見ていると心配になってしまいます。いくらちゃんとリハビリやトレーニングしても膝が内側に入るというような場合は、股関節の筋力やコントロールの問題ではないかもしれないからです。ジャンプや方向転換などを頻繁におこなうスポーツ、たとえばバスケットボールやラクロスなどをおこなう選手は特に気をつけていただきたいと思います。

 

 

この状態に対して内側にウェッジを入れると膝の外反が(kinematic的に)減ったという研究がありました。またこのウェッジは前後方向の動き、足首の背屈や膝の屈曲などを妨げないようでもあります。

というわけで内側をしっかりと支えられる足底板(インソール)の使用を検討してもよいのではないかと思います。

 

 

一方、膝が内側に入るX脚の人について、同じような動きをしているとは限らないという話もあります。

 

 

足部のバイオメカニクスの重鎮であるKirby先生によれば、X脚が増すと、脛骨の外向きは大きくなり、足と足の間も大きくなるようです。

 

 

人が片足でバランスをとろうとするとき、重心の位置を足の真上に持ってこようとします。しかし両足で立つときは、どちらの足も重心の位置の真下にはこないため、床反力は上方内側の重心の位置に向かうことになります。床反力が真上ではなく、より水平方向に働くと、距骨下関節はプロネーション(内側に倒れる)のモーメントが働くのではなく、スピネーション(外側に倒れる)のモーメントが増加するそうです。これは歩行時にも言えるようです。

 

 

足の間を広げていくと、内側に倒れるのではなくて外側に足が倒れるのがわかりますね。膝は内側にはいるのに、よく捻挫をするという方はこれに当てはまるかもしれません。

 

 

このように膝が内側に入る人でもちょっとした違いがありますので、足底板(インソール)の使用や障害予防トレーニングについても、この差を検討することを忘れてはならないと思います。

 

 

特に足底板(インソール)の処方に関しては、十分に評価ができていないのに、短絡的に内側を上げる、外側を上げるなどの発想をするのは危険です。そんなノリでインソールを勧められて逆に膝を痛めた方が何人もいらっしゃいます。

 

 

まずは足部の専門家にご相談ください。

 

 

参考文献

  1. Joseph M, Tiberio D, Baird JL, et al. Knee valgus during drop jumps
    in National Collegiate Athletic Association Division I female athletes: the effect of a medial post. Am J Sports Med. 2008;36(2):285–289.
  2. Joseph M, Denegar C, Horn E, et al. A 5° medial wedge reduces frontal but not saggital plane motion during jump landing in highly trained women athletes. Open Access J Sports Med. 2010 Mar 30;1:23-7. 
  3. Kirby K.  Foot and Lower Extremity Biomechanics Ⅱ: Precision Intricast Newsletters, 1997-2002

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