外反母趾でお悩みの方へ

2018年09月09日(日)9:31 PM

 

外反母趾でお悩みの方を時々お見かけします。すでに痛みはない場合もありますが、変形が大きく、靴を合わせるのがたいへんだという場合が多いです。

 

<どのように外反母趾になっていくか>

 

外反母趾になっていく機序ですが、Perera(1)らによれば、すべて順番通りではないですが、以下のようなことが起こることによって外反母趾になっていくようです。

 

  1. 母趾の内側の組織である靭帯と種子骨が傷む。
  2. 第1中足骨が内側にずれてきて、種子骨がずれてくる。
  3. 母趾の先(近位の指節骨)が外側に引っ張られていく。
  4. 中足骨が内側の種子骨の上に乗っかるようになり、軟骨を削ったり侵食する。外側の種子骨は第1MP関節と第2MP関節の間にずれてくる。
  5. 母趾の内側の滑液包が圧迫を受けているうちに腫れてくる。
  6. 長拇趾伸筋と長拇指屈筋が外側にずれてくる。
  7. 第1中足骨は内側に倒れてくる(プロネーションを起こす)。
  8. 母趾外転筋の付着部が下側に移動するので母趾をよい位置にとめておけなくなる。
  9. 甲側の関節包はもともと弱いが、腱のサポートがなくなる(ずれたため)ため不安定になる。

10. 母趾が外側と甲側にずれていく。

 

Human Locomotion Thomas Michaud, DC Newton Biomechanics, 2014から許可を得て転載

 

 

<なぜ外反母趾になるのか?>

 

原因としてはいくつか考えられますが、外的要因としては靴の問題が挙げられます。特に女性のハイヒールは、トーボックス(つま先が入るところ)が狭いことや前足部に荷重がかかることで問題を生みやすい靴と言えるでしょう。特に足幅が広い方は影響を受けやすいと言えるでしょう。

 

それ以外の内的要因としては、

 

  1. 遺伝
  2. 靭帯の緩さ
  3. 第1中足骨の内側へのずれ(metatarsus primus varus)
  4. 扁平足
  5. 母趾伸展制限
  6. 性別(女性が多いです)
  7. 中足骨の形状
  8. 第1列のスティフネスの低下
  9. アキレス腱が硬い

 

などが挙げられています(1)。

 

外反母趾にならないためには母趾がしっかりと機能的に働く必要があります。すなわち、しっかり地面をとらえることです。もう少し具体的に言えば、中足骨が下を向いた状態で地面を押すことができるときは、いろいろな筋肉や足部の機構が働いた状態になります(2)。外反母趾になった方はそれがうまくできていなことが多いです。

 

 

要因で遺伝というのがありますが、Masonら(3)によれば、母趾の足の甲の骨である第1中足骨に3タイプあることが解剖所見からわかったという報告があります。フラットな1つの関節面の持ち主が外反母趾が多かったそうです。

 

 

<対処法は?>

 

まずはやはり、ハイヒールを履く頻度を少なくすることでしょうか。女性が多い、アキレス腱が硬いという要因を考えると、ハイヒールを履いて足の前側に体重がかかっている限り難しいです。

 

 

次には足底板の使用が挙げられます。母趾(第1中足骨)は体重がかかる際には下を向くことによって機能的に働くので(2)、これによって第1列(母趾)の働きがよくなり、母趾周囲の筋腱の引っ張る角度が変わってきます。それによって母趾が変な方向に引っ張られることもなくなってくるでしょう。私の経験した中でも見た目はさほど変わらないのに、足底板を使用することで痛みなくプレーできるようになった方もいらっしゃいます。

 

 

上記のことを考えれば、母趾を引っ張るテーピングやサポーターは何の役にも立たないでしょう。またタオルを指で握るエクササイズ(タオルギャザー)をいくらしたところで、母趾が下を向いて機能的に働く強さを得ることが不可能なことは自明です(4)。

 

 

その他の手段ではやはり手術です。いろいろな方法があるようですので、興味がある方は医師にご相談ください。香港のドクターWuによるケースレポート(5)では、syndesmosis procedureという比較的侵襲の少ない方法でよい成果が出ているとの報告もあります。

 

 

膝関節症でもそうですが、やはり手術は怖いもので、するかどうかを決断するのは勇気がいると思います。まずは機能的な足底板を使用してみるのも1つかと思います。その前には靴選びですね。

 

 

<参考文献>

  1. Perera AM, Mason L, Stephens MM. The pathogenesis of hallux valgus. J Bone Joint Surg Am. 2011;93:1650–1661.
  2. Hetherington VJ, Carnett J, Patterson BA. Motion of the first metatarsophalan- geal joint. J Foot Surg. 1989;28:13-9.
  3. Mason LW, Tanaka H. The first tarsometatarsal joint and its association with hallux valgus. Bone Joint Res 2012;12:99-103
  4. Shiroshita, T., & Fukubayashi, T. (2011). Comparison of towel-gathering exercise and toe exercises for the painful accessory navicular. Journal of Physical Therapy Science, 23(3), 455-458.
  5. Wu DY A Physiological Soft Tissue Procedure for Hallux Valgus Deformity Correction. JSM Foot Ankle 2016; 1(3): 1012.

 

 


  |